『 健康ブログ~薬のオーバードーズには、くれぐれもご注意下さい!』
名古屋市中区栄の足立耳鼻咽喉科がお届けする健康ブログです。本職は耳鼻咽喉科領域の治療を専門としていますが、当ブログではもう少し広い視野で、より快適に生活できる情報を発信します。流行りの健康情報ではなく、基本に忠実な情報を書きたいと思っています。宜しくお願い致します。
こんにちは、健康ブログ編集長です。健康はいつの時代も、お金の多寡に関係なく全人類の願い。長い歴史の中で感染症に苦しめられ、それを何とかしたいという先人の努力で薬は発明されました。しかしその有難い薬も、量を過剰に摂取すると大変なことになります。
本日のテーマは、
「若者を守ろう!薬の過剰摂取の実態を知って下さい」
私がこの記事(11月24日読売新聞12版)のタイトルを見た時、「またコカインなどの麻薬が闇で売られてるのか・・・」と思ったのですが、実はもっと身近な問題でした。
「オーバードーズ~市販の風邪クスリや、医師から処方された睡眠薬など身近な薬を大量に飲み続け、依存する人が若い世代中心に増えている」
大まかにまとめると、こんな内容でした。私は前職は医薬品営業マンでしたので薬にまつわるニュースには関心が高く、睡眠薬の違法な流通や、薬の副作用などには結構敏感です。このニュースも、処方された睡眠薬を大量に服用して・・・ということならわかりますが、市販の薬をたくさん飲んで問題が起きるという問題には気がつきませんでした。
オーバードーズの現実
記事の概要を紹介します、
東京都の女性医師の話。大学時代の飲み会で、下戸(酒が飲めない人)のため周りに合わせられない。その時に睡眠薬を飲んだらふわっとして気持ちがよくなり、周囲に溶け込めた。その後も実習や発表など緊張を和らげるために利用するようになり、医師になってからはストレスでさらに回数や量が増大。朝昼晩に10錠ずつ服用するようになってしまった。その後も依存性はぬけず、奇行を繰り返して警察に保護された。
30歳男性。17歳の頃に眠気覚ましに使われる薬剤をドラッグストアで購入、1度に10錠服用し意識を失った。自分にイラつき、自分で自分を傷つけていた時期だったらしい。その後大学を中退、接客業を始めてからは今度は咳止め薬を乱用し始め、つらい時は20錠を一気に服用。時間をかけて20錠~40錠ずつ追加、頭がさえて多幸感を感じて、仕事がはかどった。しかしその後不眠になり仕事が出来なくなった。
気持ちはわからなくもないですが、その時はよくても薬物は確実に体と心を壊して社会生活を営めなくします。どういう理由があっても絶対にダメなのです。こういう記事を見ると親御さんも心配になりますね。表面では普通であっても、実はというケースが多いようですので要注意です。
ここで実態を知る為に統計をご覧頂きましょう。厚生労働省の調査によりますと、薬物依存の患者が使用した主な薬物は、1位は覚醒剤が53.3%と最も多いのですが、その次に睡眠薬・抗不安薬(17.6%)、市販薬(8.4%)を合わせると全体の4分の1にもなります。さらに市販薬を乱用する世代として、10代が増加しています。確かに未成年でも簡単に手に入りますからね。
また市販薬依存に陥るのにはある特徴があるとも言われています。違法薬は非行・犯罪歴がある人間が多いのですが、市販薬依存はわかりやすい属性がないそう。そして女性の割合が半分くらいというのも特徴的。困難な現実に過剰適応し、周囲が求める像(いい子)を演じてしまうのが要因のひとつと言われています。
現代社会ならではの理由
他にも現代社会特有の問題があります。それはSNS。コミュニケーションを取るために使われる便利なツールが、意外なところで危険な手段に変わります。
若い世代の依存にSNSの影響も大きい。咳止めや風邪薬などのハッシュタグと共に大量の錠剤が投稿されるなど薬の情報が氾濫する。SNSの弊害は最近いじめなどいろいろ取り上げられていますが、こんなところでも悪影響が出ているのですね。いつもコミュニケーションをSNS上でとっている人に勧められたら、試してみようという気になる危険性もあります。
特に最近はコロナ禍での不安や、仕事の悩みなどストレスが非常に多い時期ですので充分な注意が必要です。
記事を読んで感じたこと
いろいろ考えさせられる記事の内容でした。薬は正しく用いればクスリになり、用法用量を守らないと恐ろしい毒になります。これは厳然たる事実で、使い方を誤ってはいけないものなのです。ですので違法薬は論外ですが、一般の方が普通に買う子ことのできる一般薬であっても、オーバードーズすれば健康を著しく損なうことがあります。ここは非常に強く申し上げておきます。
そして経験が少なく、大人に比べて体も心も未成熟な子どもたちが辛い出来事やSNSに影響されることは想像できます。常日頃から子どもたちの動向には配慮しないといけないですね。大人の務めと考えましょう。
本日はいつもの切れ味鋭い?ギャクも封印し、真面目に薬剤に関して訴えさせて頂きました。薬も私たちを守ってくれる道具のようなもの。正しく使わないと、大けがをしますね。
かかりつけの医療機関で処方されたお薬も、用法用量(1日何回飲むのか、いつ飲むのかなど)を正しく守り、患者さん判断で止めたり始めたりしないようにして下さい。餅は餅屋、専門にやっているものによく聞いて、健康な人生を送って欲しいと思います。
それでは、また来週!
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◇ 編集後記
言わなくてはいけない事が上手く伝わったどうか不安ですが、少なくとも読者の皆さんにはご理解頂きたいです。過度に副作用を怖がって治療をしないというのもいけませんが、起こり得る副作用は知っていないといけない。繊細な日本人は、どうしてもマイナス面(副作用)の方に意識がいきがちですからね。
ネットの記事ではなく(正しいのもありますが)、正しい知識を身につけて頂きたいものです。私は医療に関わらずプロに教わるのが一番と考えるタイプですので、よくその道のプロに質問をします。それこそ車のディーラー、床屋さん、スーパーなどどこでも質問して、教えて頂きます。その上で自分で考えるのが、ベストだと思っています。
当院の患者さんも、いっぱい質問して知識をつけて下さいね!
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<当ブログ記事に関しての注意>
・当院の健康記事の詳細は、専門の医療機関にてお尋ね下さい。
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