メニュー

『 健康ブログ~好酸球性副鼻腔炎について知っておきたいこと 』

[2021.07.26]

名古屋市中区栄の足立耳鼻咽喉科がお届けする健康情報ブログです。本職は耳鼻咽喉科領域の治療を専門としていますが、当ブログではもう少し広い視野で、より快適に生活できる情報を発信します。宜しくお願い致します。

こんにちは、健康ブログ編集長です。夏休みに入りましたが、それにしても暑いですね~。セミの大合唱も暑さをさらに増しますが、これが一匹も鳴かないなんてことになれば、異変の前触れかと心配になります。いつもと変わらない夏で安心しますね。


本日のテーマは、

「 好酸球性副鼻腔炎について」


今回は耳鼻咽喉科の専門ネタで参ります。突然ですが、好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせい ふくびくうえん)という病名を聞いたことはありますか?
いつものように読売新聞の記事を参考に、話を進めて参ります。

好酸球性副鼻腔炎とは?

副鼻腔炎にかかっったことがある、又は今現在も治療中という方は多いと思います。国内の副鼻腔炎患者は100万人~200万人と推計されており、鼻づまりや鼻水が3か月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。

好酸球性副鼻腔炎は、慢性副鼻腔炎の中でも両側の鼻の中にいくつもの鼻茸(はなたけ=鼻ポリープ)が出来て、手術してもすぐに再発しやすい難治性の慢性副鼻腔炎のことです。
中等症以上は国の難病に指定されているほど、治療が難しい病気と言われており、国内では約2万人ほどの患者さんがいるようです。子どもが発症するケースはほとんどなく、20歳以上が大半で、年々増加傾向ということです。

副鼻腔という場所は、吸った空気が通る「鼻腔」の周囲にある空洞です。好酸球性副鼻腔炎性は、その空洞内の粘膜が腫れたり、鼻茸が出来たりします。その粘膜や鼻茸に、白血球の一種である「好酸球」という免疫細胞が数多く見られる為この名で呼ばれます。病気の原因ははっきりわかっていません。

好酸球性副鼻腔炎の主な症状は、鼻づまりや粘り気の強い鼻水などです。また臭いがわかりにくくなる”嗅覚障害”が出ることもあります。これは鼻茸によって臭い成分が奥まで届かなくなったり、臭いを感じる部分にも炎症が広がり機能がおこるためです。気管支喘息や治りにくい中耳炎を併発することもあります。特に嗅覚障害などはコロナ感染と間違えてしまいそうで、注意が必要です。

好酸球性副鼻腔炎の診断と治療

鼻の中をファイバーで確認したり、CT(コンピューター断層撮影法)撮影で確認します。伏見クリニックはCTがありますので、すぐに確認することが出来ます。また血液中の好酸球の割合で重症度を判定します。

前述したように治療が難しい病気で、確立された治療法は今のところありません。現在有効とされているのは、ステロイドを服用し炎症を抑える治療です。
しかしステロイド剤は副作用があるため長期間は使えません。内視鏡で鼻茸を切除する手術も可能ですが、すぐに再発します。

希望をくじくようなことを申しましたが、最近はいろいろな治療も出てきています。例えば内視鏡手術+術後治療。鼻の穴から内視鏡を入れて、モニターを見ながら鼻茸を切除。副鼻腔を仕切る薄い骨を除去して副鼻腔を広くする。また内視鏡で鼻茸を切除、その後ステロイド剤を投与したり鼻を洗浄したりすると再発せずに済むケースも増えています。

また最近新しい治療法も実施されています。それはヒトモノクローナル抗体製剤「デュピロマル製剤(商品名:デュピクセント)を用いた治療です。元々はアトピー性皮膚炎の治療薬でしたが、適応症拡大で気管支喘息、そして鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎も可能となっています。ヒトモノクロナール抗体は様々な病気の治療に使われており、好酸球性副鼻腔炎でも期待が持てそうです。ネックは薬価が結構高いので(2021年7月現在 ですが、6万円以上します)、自己負担も高くなることですね。

まとめ

好酸球性副鼻腔炎の概要、診断方法、治療法などについて、ざっくりですが解説させて頂きました。この病気になる確率は低いものの、なった後は色々大変ですので病気のことについては知っておいて欲しいと思います。
風邪などをきっかけに悪化したり、嗅覚障害の症状が出てから長時間放置すると、手術をしても元に戻りにくくなります。おかしいなと思ったら、早めに耳鼻咽喉科を受診した方が良さそうです。また日常生活では手洗いや消毒を徹底して感染症にかからない対策も忘れずにお願いします。


それでは、また来週!


--------------------------------------
◇ 編集後記

医学の進歩により、今まで治せなかった病気が治せるようになってきています。日本人の死因のトップでもある「がん」を治せる日も夢ではないかも知れません。

話は変わりますが、地上で一番繁栄している種族は何だと思いますか? それは・・・昆虫なんですね。キモいとか、グロイと邪険にされている昆虫ですが、驚くべき能力を持っています。
知れば知るほどスゴいと感動します。詳しく知りたい方は、名古屋科学館で開催中の昆虫展にぜひいってらして下さい。
キモさ全開で、あなたや子供たちを待っています!

---------------------------------------

☆ 足立耳鼻咽喉科は「アレルギー性鼻炎」のトータルケアクリニックを目指しています。

花粉症の方、必見!つらいアレルギー性鼻炎の対策をご存知ですか?


(1)【重症の方へ!】花粉症重症の方に大朗報!速効性と効果を兼ね備えた「ゾレア注」をご存知ですか? 

(2)【花粉症が治る!?】成功者続出の「舌下免疫療法」! 

☆ ”いびき”が気になる方、ご家族に指摘された方は一度検査した方がいらっしゃいませんか?

【 CPAP(シーパップ)治療 】なら”いびき”に隠れた病気=「睡眠時無呼吸症群」を改善できます!


--------------------------------------

公式YouTube、始めました!

「耳鼻科医足立の健康第一!」


---------------------------------------

<当ブログ記事に関しての注意>

・当院の健康記事の詳細は、専門の医療機関にてお尋ね下さい。


---------------------------------------------

「 安心・安全で人に優しいクリニックをつくり、地域社会に幸せの循環を創る 」


1.足立耳鼻咽喉科 四日市本院:三重県四日市市羽津山7-8

2.足立耳鼻咽喉科 伏見クリニック:愛知県名古屋市中区栄1丁目2-3 プラウドタワー名古屋栄2F

----------------------------------------------

 

HOME

最新の記事

健康Youtube~【フルミスト点鼻薬】痛くないインフルエンザワクチンのメリットとデメリットを医師解説
健康Youtube~【医師解説】滲出性中耳炎の症状・原因・治療法:耳鼻科医が教える3つの重要ポイント
健康Youtube~【医師警告】ノイズキャンセリングイヤホンは耳に悪い? 聴覚システム・脳機能への悪影響を解説 
健康Youtube~声の若返り法を医師が解説!今すぐ始める声のアンチエイジング対策5選
健康Youtube~【予防と登園基準】感染を防ぎ子どもを守ろう!医師が教える小児感染症の予防ガイド【ヘルパンギーナ、手足口病、インフル、コロナetc...】
健康Youtube~【新型コロナ後遺症リスク倍増】感染数が多いほど危険!ワクチンで後遺症を予防【医師解説】・【要注意】聞こえにくさは認知症の始まり?補聴器でできる認知症予防対策とは【耳鼻科医解説】
健康Youtube~【鼻血を繰り返す方へ】最も効果的な鼻血の止め方・NG行動を鼻血が止まらない原因から耳鼻科医が徹底解説
健康Youtube~【突発性難聴、1週間が鍵】聴力を守るための早期治療の重要性とは?
健康Youtube~【医師解説】新型コロナ後遺症の方必見!Bスポット療法| 慢性疲労・嗅覚障害への治療法
健康Youtube~【医師解説】新型コロナ後の嗅覚障害に効く漢方薬:当帰芍薬散で80%改善!

ブログカレンダー

2024年10月
« 9月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME