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『 健康ブログ~お母さん、間違った鼻血の止め方していませんか?』

[2022.06.27]

名古屋市中区栄の足立耳鼻咽喉科がお届けする健康ブログです。当ブログでは耳鼻咽喉科領域に限らず、もう少し広い視野でより快適に生活できる情報を発信します。また流行りの健康情報ではなく、基本に忠実な情報を書きたいと思っています。末永く宜しくお願い致します。
(専門外の病気についての詳細は、各専門科で必ずお尋ねください)


こんにちは、健康ブログ編集長です。この時期は耳鼻咽喉科の外来は少なめで、年間を通じても一番少ない時期に向かいます。レーザー治療や舌下免疫療法など、じっくり話を聞いたり質問をするには非常に良い季節です。是非来シーズンの花粉症に向けて対策をうっておきたいものですね。


本日のテーマは、

「専門医が語る、正しい 鼻血の対処法」

耳鼻科には鼻血が止まらない患者さんも訪れます。人間は本能的に出血を嫌いますし、一番気になる顔のパーツから血が出ているのはかなり気になりますね。

皆さんは鼻血が出た時、どうやって止めますか?

よくあるのが、

  • 鼻にティッシュを詰める
  • 上を向く
  • 首の後ろをトントンとたたく

といった方法を思い浮かべる人や、実際に行ったことがある人は多いと思います。これらの方法は昔からよく知られており、「親や祖父母にこう教わった」「小さい頃からずっとこのやり方で鼻血を止めてきた」「子どもが鼻血を出したときもこうしている」と仰る方も多いようです。

我が身を想い出すと効果があったような記憶もありますが、昔からよく行われてきた鼻血の対処法は、本当に正しいのでしょうか?

鼻血はなぜ出る?あまり出ない方がいいの?

そもそも、「鼻血」とは何でしょうか?

鼻の入り口の穴「外鼻孔(がいびこう)」といい、それより奥は粘膜で覆われています。鼻血とは、その粘膜の中にある血管が損傷し、血液が血管外、さらに粘膜外に出て、それが外鼻孔や咽頭へ流れ出した状態のことで、医学的には『鼻出血』といいます。

鼻血が出る必要条件は、血管の壁と血管を覆う粘膜表面の両方が傷つくことです。これは外力、あるいは血管内からの圧力(血圧)が加わったときに起こる他、血圧の急激な変化も原因となります。

出血量は、動脈と静脈のどちらから出るかによって異なり、動脈性は勢いもあり、止まりにくい。でも多くの場合は静脈性で、出血部位を押さえると5分以内に止まります。また、季節でいうと、寒くて乾燥する冬は出やすく、夏は少ない傾向がありますね。

また鼻血は一般的に男性に多い年代別では子どもに多く、大人になると減りますが、年を取るにつれて、また回数が増えてきます。年に数回以上出血する人は4%、一生のうちに大量・頻回の鼻血を経験する人は約10%とみられます。

子どもの鼻血のほとんどはアレルギー性鼻炎によるものです。鼻のかゆみがある場所を手でこすったり、指でほじったりすることで粘膜がこすれて傷み、その度合いが進むと、血管の壁が破壊・修復を繰り返してうっ血し、血管が膨れ上がります。こうなると、直接の刺激以外にも洗顔や鼻かみにより、習慣的に出血してしまいます。子どもの鼻血は外力の影響が強いのです。

一方で、大人の大量出血の場合は血管に由来する原因が多いです。年を取ると血管の動脈硬化が進み、その結果、血圧が上がることで出血しやすくなります。血管がもろくなる要因は他に、動脈瘤、動静脈奇形、オスラー病(全身の血管に異常が起き、出血症状が現れる病気)などがある他、出血しやすくなる病気として血小板減少症、白血病などがあります。最近は抗凝固薬を服用している患者さんが極めて多いのですが、こうした人たちは鼻血の頻度も多く、止まりにくいです。

鼻血の正しい対処法

鼻血が出たときの対処法として広く知られる「鼻にティッシュを詰める」「上を向く」「首の後ろをトントンとたたく」の3つですが、実は“やってはいけない方法”というのは事実でしょうか? 今回も影の声にゲスト出演して頂きましょう。

ティッシュを詰める

ド定番ですので、誰もが一度は経験がおありなのではないでしょうか?

「子どもの頃からティッシュには世話になった。この方法で一発で止まるよ!」

なるほど、この方は絶対の自信を持っているようですが、実際どうでしょうか?

答えはNG。多くの出血が鼻の中央の仕切りである「鼻中隔」の入り口近くの部分からなので、ちょうどそこにティッシュの先端が当たって圧迫止血できるわけです。しかし、ティッシュを詰めることによって鼻の粘膜を傷つけたり、取るときにかさぶたが剥がれて再び出血したりする可能性があります。特に、オスラー病のような血管の壁が弱い例や、血友病など血が固まる能力が弱い例では問題なので学会ではこの方法は勧めていません。

上を向く、首の後ろをトントンとたたく

これもやりましたね。

「だって重力の関係で下にたれてくるなら、上を向けば止まるんじゃない?」

説得力のあるそうな答えですが、結論から言いますと「上を向く」のは誤った方法です。2回連続の間違いで、後がない状態(笑)。

頭を後ろにそらすと鼻血が喉に回り、それを誤嚥(ごえん)する可能性がある他、鼻血を飲み込んでしまい、血液が胃にたまって吐き気が誘発され、
吐いたものを誤嚥する危険もあります。

また「首の後ろをトントンとたたく」方法も昔はよくいわれましたが、それで鼻血が止まることはありません。局所の安定が保てず、逆効果になります。

鼻をかんで鼻血を出し切ろうとする、鼻全体をつまむ

ちょっとハードな方法ですが、Sっぽい方ならあるかも?

「やった、やった。この方法もいいよ!」

やはり、やっていたか・・・典型的なSだな・・・。

回答は、これもNG。

出血すると、血を止めるために破れた血管が反射的に収縮し、流れる血液の量を減らそうとします。また血液は固まって防波堤を作る仕組みが働きます。鼻をかんで鼻血を出し切ろうとするのは、その両方に反するために間違いです。

鼻全体をつまむのもお勧めできません。外から出血部位を圧迫する意味では理にかなっていますが、その原則は「出血している側だけを親指で横から押さえる」ことであり、反対側の鼻は呼吸のために開通させておく必要がありますので、鼻全体を押さえない方がよいです。

影の声の方、今日も惨敗ですね(笑)。それでは次項で、正しい鼻血の止め方をご紹介します。

正しい「鼻血の対処法」とは?

それでは正しい鼻血の止め方をお話致します。

まず出血した側と同じ側の親指を小鼻付近に当て、内側(鼻の仕切り)に向けて一定の力で圧迫しましょう。出血時間は通常1〜5分なので、最低でも5分以上を目安にしてください。

鼻の穴から1センチほどの入り口付近から出血するケースが多いので、その場合は、この方法でしっかり圧迫できます。このとき、先述したように顔を上に向けてはいけません。
座って前傾姿勢にし、親指での圧迫を続け、5分たってもまだ出血が続く場合はさらに5分間繰り返しましょう

これでかなりの確率で止まると思います。さらに当院を受診して頂ければ、鼻出血がもっと止まりにくい時の止まりやすくする秘伝の処置法をご指導します。この処置法でほぼ止まります。それでも鼻血が止まらない場合、他の要素(血液の凝固機能に異常があるなど)が考えられますので、たかが鼻血と侮らず医療機関を受診しましょう。

それでは、また来週!

 

 

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◇ 編集後記

梅雨入りは仕方ないとは思いつつも、やっぱりお天気がいいなあと思ってしまう身勝手な生き物です(笑)。

この時期は食品も傷みやすいので、気をつけないといけないですね。冷蔵庫がいっぱいになり、大好きなアイスの居場所が・・・。先日息子に、楽しみにとっておいたジャイアントコーンを食べられてショック。弱肉強食は世の常です。

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<当ブログ記事に関しての注意>

・当院の健康記事の詳細は、専門の医療機関にてお尋ね下さい。


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1.足立耳鼻咽喉科 四日市本院:三重県四日市市羽津山7-8

2.足立耳鼻咽喉科 伏見クリニック:愛知県名古屋市中区栄1丁目2-3 プラウドタワー名古屋栄2F

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