舌下免疫療法 総合ページ
舌下免疫療法について
当ページでは、アレルギー性疾患治療の新しい可能性を秘めた治療法「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」を詳しくご紹介致します。
なるべく医学用語を使わずにわかりやすい表現を心がけて参りますが、わかりにくい場合は直接当院にお問合せ下さい。
舌下免疫療法の概要
どんな治療法?
舌下免疫療法とは、ご自身のアレルギー反応の原因(原因となる物質のことを"抗原(アレルゲン)”と呼びます)そのものを体内に少しづつ取り入れることによって、その物質に対する免疫を獲得することを目指す治療法です。
舌下免疫療法は比較的新しい治療法ですが、減感作療法(げんかんさりょうほう)といって、アレルゲンエキスを注射する治療法はありましたが、こちらは錠剤を飲む利用法です。
スギ花粉用の舌下免疫療法の治療薬:シダキュア®スギ花粉舌下錠2.000JAU、5,000JAU
ダニアレルギーの舌下免疫療法の治療薬:ミティキュア®ダニ舌下錠3,300JAU、10,000JAU
飲み始めから一定期間で増量し、その後維持量を継続して飲んでいただきます。
動画でも紹介しております
治療効果
製造元の鳥居薬品が公表しているデータでは有効率は70~80%となっています。また他のクリニックの情報や当院で治療した患者さんには非常に好評で、舌下免疫療法を受けたスギ花粉症の方の約80%の人が効果を実感、約30%の人は内服薬がいらなくなりました!
これは非常に優秀な数値で、スギ花粉症の方がシーズン時にあれほど苦しんだ「くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ」から解放されて、もう通院の必要がなくなる治療法です。
舌下免疫療法の効果についての声はこちらの動画でも説明しております。
副作用
舌下免疫療法にも副作用がないとは言えません。口の中の荒れ、違和感、そして最も重い副作用はアナフィラキシーショックなどがあります。
怖い副作用ではありますが、かなり発生頻度は低いと言われています。また専門医療機関では万一の場合の対処について準備していますので、あまり心配されなくても良いと思います。
同じ舌下免疫療法でも、ダニ用のミティキュアの方が最初の副作用が多い印象があります。
治療の流れ
それでは実際の治療はどういう感じで進んでいくのか、治療の流れについてお話を進めて参ります。
治療手順は大きく4つに分かれます。
- 初診:舌下免疫療法の説明、アレルギー検査など
- 再診(2回目):治療の意志確認後、クリニック内での初回服薬
- 再診(3回目):1週間後の診察
- 再診:(4回目以降):お薬の継続、4週間ずつの診察
開始時期
スギ花粉症の場合
スギ花粉が飛んでいる時期に治療を開始すると、症状が悪化してしまう可能性があります。スギとヒノキの花粉シーズンが終わって1ヶ月程度経過してから治療開始となります。
そのため、6月から11月までに治療を開始するのが一般的です。
とはいえギリギリになると投薬出来なくなると困りますので、余裕を持って始める事をお勧めします。
ダニアレルギーの場合
ダニは1年を通じて活動、死骸なども存在していますので、時期に関わらず治療を始められます。
両方お持ちの方
スギ花粉とダニの両方に反応する方は、先に時間的な制約のあるスギ花粉を始めます。その後1カ月程度あけて、ダニアレルギーの治療に入るのは一般的です。
開始時期を説明している動画はこちらから
飲む回数、間隔など
舌下免疫療法の治療薬には、独特の飲み方のルールがあります。効果的に治療を行う為にも、このルール通りの服用をお願いします。
- スギ花粉症、ダニアレルギー共に、初回~7日までは低濃度の薬を飲み、8日目~は高濃度の薬を飲み続けます。
- 1日1回、なるべく午前中に飲みます。
- 診察1ヶ月に1回必要です。
ご注意いただきたい点
- 治療可能なアレルギーの舌下免疫療法の薬剤は「スギ花粉」と「ダニ」の2種類のみです。
- 服用期間は3~5年です。月に1回は必ず通院していただきます。
- アナフィラキシーショックの確認の為、初回の服用はクリニック内で行い、30分お待ちいただきます。
- 初回服用より1週間後に必ず受診していただきます。
- 気管支遠足で治療を受けている方、妊婦の方はこの治療を受ける事ができません。
- 高血圧でβ遮断薬をのまれている場合は薬の変更が必要です。また口の中が傷ついていたり、歯医者さんで治療している場合は治療の中断の相談が必要です。
- 5歳上で可能ですが、当院では7歳以上の方のみ治療を行っております。
- 7歳以上12歳未満の方でも、治療の継続や理解が困難と医師が判断した場合はお断りすることがございます。
治療に必要な費用
スギ花粉症に対しては「シダキュア」、ダニアレルギーに対しては「ミティキュア」という薬を使用します。
- 舌下免疫療法開始時=1週間分のみの処方になり、再診料、薬剤料を合わせて、シダキュアは約1,530円、ミティキュアは約1,550円の負担になります(3割負担)。
- 2回目=2週間分の処方になります。同じく再診料、薬剤料合わせてシダキュアは約1,200~1,300円、ミティキュアは約1,400~1,500円の負担になります。
- 3回目以降=4週間分ずつの処方になります。シダキュアは約1,800~1,900円、ミティキュアは約2,300~2,400円の負担になります。
表にしてみました。↓↓
シダキュア(スギ花粉症)を服用した場合
3割負担の方 | |
血液検査費用 | 約2,500円~4,800円 |
治療開始1週間 | 約1,530円 |
次の2週間 | 約1,200~1,300円 |
次の4週間以降 | 約1,800~1,900円 |
ミティキュア(ダニアレルギー)を服用した場合
3割負担の方 | |
血液検査費用 | 2,500円~4,800円 |
治療開始1週間 | 約1,550円 |
次の2週間~ | 約1,400~1,500円 |
次の4週間以降 | 約2,300~2,400円 |
*(注)上記数字は大まかな目安です。診療報酬改定など毎年変更されますので、ご理解下さい。
よくある質問まとめ
舌下免疫療法について、質問の多い項目をまとめてみました。
Q1舌下免疫療法ってなんですか?普段飲んでいる薬と何が違う?
例えば花粉症の場合、従来は抗アレルギー薬という薬で症状を抑えているだけでした。止めれば、また鼻水やくしゃみが止まらない状態に逆戻りです。
舌下免疫療法は、簡単に申しますと「体質改善をする薬」。本来花粉自体は敵ではないので、防御反応である免疫反応を起こす必要はないのです。花粉に反応しアレルギーを起こしていた自分の体質を変えて、花粉が飛んでも反応しないように出来ます。
Q2どんな人に合う治療法ですか?また治療したらダメなケースは?
毎年花粉症でお困りの方、ダニアレルギーでお悩みの方の、年齢的には6歳以上~60歳くらいまでの方になります。舌下免疫療法は内容をよく理解して、根気よく続けられる方に向いています。
また喘息などの病気、高血圧治療の特定の薬、妊婦さんなどは治療出来ません。
Q3子供がひどい花粉症です。6歳ですが治療出来ますか?
当院では7歳以上を年齢制限の下限としています。理由は舌下免疫療法の注意事項を守れる年齢であるという事ですが、7歳以上でも理解・納得できないお子さんはお勧めしません。
薬剤を舌下に定められた時間保持できるかと、舌下投与前後に運動を自制できるかが投与の目安となり、当院では7歳以上を一つの目安としています。また小さなお子様では、保護者などの舌下免疫療法への理解のもと、保護者などの管理下にて服用することも重要かと考えています。
また65歳以上の方もお勧めしていません。
Q4毎日飲まなくてはいけないと聞きましたが、時々飲み忘れてしまうのですが・・・
飲み忘れがあった時は、飲み忘れた期間などにより対応策が変わってきます。
長期間に渡って服薬を続けなくてはいけませんので、ついつい飲み忘れることも・・・。そんな方に飲み忘れ防止アプリ「SLITサポート」をご紹介します。
Q5スギ花粉症やダニアレルゲンによる通年性アレルギーの確定診断を受けていないが、舌下免疫療法をうけたいのですが、治療できますか?
採血のアレルギー検査で確定診断がついていなければ、自覚症状だけでは舌下免疫療法の治療はできません。
Q6歯の治療や口内炎など口腔内の傷がある場合は、治療を続けてもよいのですか?
受診してご相談ください。歯の治療の場合は歯科医に傷の治り具合の確認が必要な場合があります。