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子どものアレルギー性疾患と舌下免疫療法

子どものアレルギーと受験問題

現代のアレルギー事情

多くのご家庭で「お子さんのアレルギー」問題には、心を悩まされているのではないでしょうか? 私の子どもも軽度ながらアレルギー体質で、神経過敏になって時期がありました。

年々出生率が下がり少子社会となった今、子供達は今まで以上に大切な宝物のような存在です。その大切な子供達を悩ますのは現代病”アレルギー性疾患”と呼ばれる病気です。アレルギー性疾患は喘息やアトピー性皮膚炎、花粉症を含むアレルギー性鼻炎などの総称で、原因がはっきりわかっていない病気でもあります。

厚生労働省の統計によれば、0~14歳の約40%がアレルギー性疾患に罹っていると言われている。そして東京、大阪の大都市では4歳以下の約51.5%がアレルギー性疾患であるという結果が出ており、都市部の生活環境の悪さが数字に現れています。

限られた年齢層ではあるものの、人口の半分という数字は驚くべきものです。そしてさらに恐ろしいのは、年々増えつつあるということですね。しかし現代社会ではアレルギー問題は避けて通ることが出来ません。大気の状況、排気ガス、食物に含まれる添加剤など挙げ出したらキリがないほどで、子供たちの身の回りは化学物質でいっぱいです。

例えば喘息を患うお子さんは発作時に多大なリスクがありますし、アトピー性皮膚炎を抱えているお子さんならば痒みとの壮絶な戦いが続きます。様々な治療法や薬はあるものの、決め手にはなっていません。

当クリニックは耳鼻咽喉科ですので専門分野の「花粉症」についてお話しますと、子供の花粉症患者は年々増加しており、低年齢化しています。アレルギー性疾患は身体の各臓器が成長することで治ることもありますが、全員ではありません。そう考えれば、子供の頃に発症すると長い期間に渡ってアレルギーに苦しまなければならないということになります。

何とかしてあげたい、と強く感じます。

子供と受験について

子供たちを取り巻く生活環境も変わってきています。

昔のように外で日が暮れるまで遊んでいたり、せいぜい習字やソロバン塾に通っていた時代とは違い、小学校の頃から2~3つ以上の習い事に通っている時代。大学、高校受験はもちろんのこと、中学校や小学校、はては幼稚園受験まで考えていかなくてはならず、多大なストレスにさらされています。もちろん教育は大切ですし、世界的な傾向ではあるものの大変な時代となってしまいました。

高校受験対象者をベネッセが調査した内容によれば、

  • 受験を意識し出したのは中2の終わり頃が3割強、中3の始め頃まで含むと約6割という結果でした。
  • 学校選びで重視したことは、「自分の学力に合っている」「通学に便利な場所にある」の2つが特に高く、「学費があまりかからない」が約6割と高くなっています。また保護者の意見、学校の見学会や説明会が決め手になった学生さんが多かったようです。情報収集は親御さんもかなり関わっていることが調査内容から読み取れます。
  • 学校以外での勉強時間は、受験直前で1日4~5時間というゾーンが最も多かった。
  • 受験に対して子供たちが抱いた不安や問題点でもっとも多かったのが、「何をしていいか、わからなかった」というもので約65%くらいの子供が抱えていた問題だったようです。受験勉強中も苦悩していた子どもの姿が伺えます。
  • また母親の問題点としては「何をどうサポートすれば良いのか、わからなかった」が44%にも昇り、子供だけでなく親(特に母親)の苦悩がよくわかります。

これはほんの一例でしょうが、親御さん、お子さん全員が大変なストレスを受けながら受験に臨んだことがわかります。

アレルギー性疾患を持つ子供の苦悩

そして日本においては受験といえば春。2~3月が一番大事なシーズンとなります。しかしこの時期は・・・そうです、花粉症の最盛期。大事な受験の時に、大切な受験の面接の時に花粉症が最もヒドい状態で臨まないといけない。これは本当に厳しくて、大きなハンディキャップですね。

上記のように大変な想いをしながら、1日何時間も勉強してきたのに実力を発揮できないのはあまりにも可哀想です。受験時期を変えることを議論された時期もありましたが、現実は難しいようですね。最高のパフォーマンスを発揮したい、ベストを尽くして欲しいのに、花粉症の子供たちはそうはいきません。辛いことです。

またアレルギーを抱えた子供たちが成長し、学校に入り学業に勤しむわけですが、アレルギー性疾患と無関係ではいられません。アレルギーを抱えた子供さんは、楽しい学生生活においても様々な症状に悩まされます。

ダニアレルギーのお子さんは年中喘息用症状を起こして大好きなスポーツに打ち込めなかったり、花粉症のお子さんであれば春先は症状が激しくなり、著しく能率が落ちます。また衣類や食物など制約がつきまといます。本来最も楽しく、一生の思い出となる青春時代を満喫することも出来なくなりますね。

このような面においても、親御さんや本人は出来るならアレルギー性疾患を完治させておきたいと強く思うことになります。

アレルギー検査のすすめ

まず敵を知らなくてはなりませんね。何に対してアレルギー反応が出ているのか、その原因物質(アレルゲンと呼びます)を特定することは大変大切な第一歩です。

この検査は39項目のアレルゲンを知らべることの出来る「View39(ビュー39)」という検査で、血液を採取して調べるだけですので簡単に行えます。アレルギー性鼻炎で何年も苦しんでいるけど、意外とアレルゲンを知らない(検査をしていない)方が多いのが現実です。詳しくは詳細ページに掲載していますので、是非ご覧下さい。

また採血がちょっと難しい小さなお子さんも「イムノキャップラピッド」という指先の採血で簡易的ながら調べる検査もございますので、是非ご相談下さい。お子さんのアレルゲンを知ることで、食物アレルギーなどでついうっかりという事故も防ぐことが出来るのも大きなメリットです。

☞ アレルギーの検査の詳細は、コチラ!

舌下免疫療法について

舌下免疫療法はアレルギー性疾患の原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に取り入れることで、そのアレルゲンに身体を慣れさせて抗原抗体反応を起こさせないようにする治療法のことを指します。現在のところ製品化されているアレルゲンは、「スギ花粉と「ダニ」のみですが、この2種類のアレルゲンがかなり多くの原因となっていますので・

元々は注射製剤でしたが、痛みやショックを伴うことや通院に手間ひまがかかるのがネックでした。しかし舌下免疫療法は内服剤ですので、ご自宅で治療が続けられます。これが最大のメリットになります。

ただし良いことばかりではありません。以下の注意点を知っておいて頂かなくてなりません。

徐々にアレルゲンに慣れさせていかなくてはならないので、治療には長い時間が必要です。メーカーの推奨期間は、3年~5年と、根気のいる治療法です。
そして3年経って突然効く訳ではなく、徐々に症状が収まったり、飲み始めて半年くらいでかなり良くなるケースも多数報告されています。後述しますが、私たちの最も推したいポイントは実はここです。

  • 注射ほどではありませんが、重大な副作用があります。それはアナフィラキシーショック。非常に低い確率ですが、ゼロではありません。時には死亡する危険性を持っています。
    怖がらせてしまったかも知れませんが、かなり稀な副作用です。不安な方はお気軽にご相談下さい。
  • 服用方法が少し独特です。舌下、つまり舌の下にしばらく保持してから飲み込みます。これが出来ない小さなお子さんは残念ながら治療出来ません。
  • 他にも投薬初日は院内投薬となります。これは副作用観察の為ですが、他にも若干の制約もございます。この治療法のメリット、デメリットをよく理解頂ける方にお勧めします。

以上、少しハードルを上げてしまいましたが、それでも挑戦する価値は大いにあると思います。

舌下免疫療法の詳細や気になる点などは、以下の詳細ページをご覧下さい。

☞ 舌下免疫療法についてはコチラ

☞ 舌下免疫療法のFAQはコチラ

 

受験を控えたお子様へ、当クリニックが出来ること

さあここからが本題ですが、大切な受験時期に花粉症の症状の影響が出ないようにすることが当面の目標で、その先の人生から花粉症の3文字を消す事(つまり完治すること)が最終目標となります。そんな夢みたいなことが、本当に可能なのでしょうか?

舌下免疫療法の説明の欄でも少し触れましたが、メーカー推奨の3年~5年に満たなくても効果がある点がポイントです。個人差もありますし、完全にデータとして出ているわけではありませんが、舌下免疫療法を始められている多くの患者さんから、

  • 飲み始めた最初のシーズンなのでまだ無理だと思っていたが、かなり症状が軽くなり、薬を減らすことが出来た。
  • 服用後、約半年で症状がほぼ無くなった!3年以上飲まなくてはと思っていたが、驚いた。
  • 完全に治ってはいないが、症状の激しい日は減った。また鼻詰まりは変わらない気がするが、鼻水は明らかに減りティッシュの消費量がかなり違う。

このような嬉しい声も多く頂いており、他の耳鼻咽喉科の先生にお聞きしても同様な意見が多かったのは事実でした。もちろん有効率は100%ではないので、3年~5年服用したが効果が見られなかった症例もあります。ただ明らかに挑戦するメリットがあるということだと思います。

このような結果を踏まえて、改めてお子さんの受験と花粉症を考えてみましょう。例えば舌下免疫療法が開始出来る6月から始めたとすると、早くて12月にはある程度免疫がつき始める可能性が高いと思われます。もしそうであるなら、その年のシーズンは症状が軽くなることが期待出来て受験時のパフォーマンスを落とさなくてもいけるのではないでしょうか?
6月~8月に開始すれば、上手くいけばそのシーズンは症状が軽減できるという勝てる戦略を立てることが出来ます。

何度も繰り返しますが100%有効ではありませんし、アナフィラキシーショックという重い副作用の可能性もゼロではない。また早期の効果が出ないケースもあります。それでも大切な受験時期に最大限のパフォーマンスを出させてあげたい!と思うのが親の偽らざる心情だと思います。

そしてもっと広い視野に立って考えれば、子供の長い人生において花粉症の症状から解放されることがどれほど素晴らしいか。少し大袈裟かも知れませんが、人生さえも変わるといって過言ではないかも知れないのです。

生活習慣を整える

アレルギー検査。舌下免疫療法の期待値をお話してきましたが、あともうひとつ大切なことをお話致します。

それは「生活環境と習慣」についてです。人間は習慣の集大成であるという言葉があるように、健康も生活習慣が決め手になります。今の若い世代はスマホ世代であり、SNS世代でもあります。昼間は学校や部活、塾通いに忙殺されて、昔なら休めたはずの帰宅後も大忙しですね。また片時もスマホを離さずに、動画を見たりゲームをしたり、LINEで友だちとつながったりしています。それ自体は悪いことではありませんが、スマホが健康に与える悪影響は過大ですし、SNSもひとつ間違えばストレスの原因にもなる時代です。

健康の基本は適切な睡眠、バランスのとれた食事ですが、なかなか若い世代では自覚は難しいと思います。ただアレルギー体質のお子さんは、やはり規則正しい生活リズムを覚えさせたり、食事や睡眠を充分とって頂きたい。家庭の習慣が非常に大切ですので、主にお母様に負担をかけますが宜しくお願いしたいと思います。

最後に

大切な子供さんのことですし、私も親の1人として少し力が入ってしまいました。宣伝をしたいわけでもなく、決して煽るつもりもございません。
大事なことですのでよく検討して頂き、親御さんも子供さんも納得した上で決断頂ければと思います。それに対する情報提供は今後も精一杯行って参りますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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