『 健康ブログ~国民病は花粉症だけではなかった!慢性腎臓病の病態、発見方法を知ろう!』
名古屋市中区栄の足立耳鼻咽喉科がお届けする健康ブログです。当ブログでは耳鼻咽喉科領域に限らず、もう少し広い視野でより快適に生活できる情報を発信します。また流行りの健康情報ではなく、基本に忠実な情報をお届けしたいと思っています。末永く宜しくお願い致します。
(専門外の病気についての詳細は、各専門科でお尋ねください)
こんにちは、健康ブログ編集長です。当院でもようやくマイナカードによるオンライン資格確認が始まりました。今は負担金の違い程度ですが、いつの間にか自由ではなく強制になるという事態が目の前まで来ています。国が本気になると個人ではどうしようもないですが、やはり声を上げていかないといけませんね。
本日のテーマは、「慢性腎臓病について」
病名くらいは聞いたことがあるかと思いますが、自分には関係ない病気だと思われるかも知れません。しかし推定1880万人、成人の8人に1人がかかるといわれる、いわば国民病的な病気なのです。今日は製薬企業の沢井製薬様、協和キリン様のホームページ記事を参考に、慢性腎臓病について勉強していきたいと思います。
腎臓の重要な5つの働き
腎臓はそら豆のような形をしており、握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりに左右対称で2個あります。小さな臓器ですが、どのような働きがあるのでしょうか?
1.老廃物を体から排出する働き
血液をろ過して老廃物や余分な塩分を尿として体外に排出しています。それだけでなく、体に必要なものは再吸収し体内にとどめる役割もしている、非常に重要な器官です。腎臓の働きが悪くなると尿が出なくなり、老廃物が体内に蓄積していき尿毒症になる恐れがあります。
慢性腎臓病などによってこの働きが悪くなると、排出されない老廃物が体に悪い影響を与え、様々な病気の原因になる可能性があります。
2.血圧を調節する働き
腎臓は体内の塩分と水分の排出量をコントロールし、血圧を調整しています。血圧が高い時は塩分と水分の排出量を増やして血圧を下げ、低い場合は逆に排出量を減らす事で血圧を上昇させます。また腎臓は血圧を維持するホルモンを分泌し、血圧が低い時に血圧を上げます。
このように腎臓は血圧の上下に関与していますので、腎機能が低下すると高血圧になることがあります。
3.血液を作る司令塔的な働き
血液(赤血球)は骨髄に中にある細胞が、腎臓から出る「エリスロポエチン」というホルモンの刺激を受けて作られます。腎機能が落ちると、このホルモンが出なくなり血液が充分に作られず、貧血になることがあります。
4.体液量、イオンバランスを調節する働き
腎臓は体内の体液量やイオンバランスを調節したり、ミネラルを体内に取り込む役目も担っています。腎臓が悪くなると体液量の調整が上手くいかなくなり体がむくんだり、イオンバランス調整の低下で疲れやめまいなど、様々な不調があらわれます。
5.強い骨を作る働き
骨の発育には複数の臓器が関わっていますが、腎臓は骨の形成に必須のカルシウムを体内に吸収するのに必要な活性型ビタミンDを作っています。腎機能が低下すると活性型ビタミンDの生成が低下し、カルシウムの吸収が悪くなり骨が弱くなる恐れがあります。
このように腎臓は非常に重要な機能を担っているのです。
慢性腎臓病の見つけ方
腎臓の機能が低下して起こる事はご理解頂けたかと思いますが、それでは自覚症状はどのようなもので、どうやって発見すれば良いのかを調べてみました。
慢性腎臓病はCKDとも呼ばれていますが、前述したように成人の8人に1人という非常に多い確率で起こる病気です。大体の病気は早期発見し、早期治療をすれば治癒する確率が上がります。しかし慢性腎臓病は初期の頃は症状がほとんどなく、発見した時にはある程度病気が進行しているという怖い特徴があります。
CKDは初期なら比較的治癒しやすい病気ですが、あるレベルまで悪くなるとどんどん悪化していきますので注意が必要です。CKDが進行した時に出る症状ですが、夜中に何度もトイレに行く夜間尿、体のむくみ、貧血、倦怠感、息切れなどが現れます。
慢性腎臓病は、以下の1と2のいずれか、または両方が3ヵ月以上継続していることが診断基準とされています。
- たんぱく尿や血尿、画像診断などの結果から、腎臓に障害があることが明らかだと判断される
- 糸球体ろ過量(GFR)が60ml/分/1.73m2未満である
1は、尿検査を受けて、尿にたんぱく質や血液が混じっていないかどうか調べれば分かります。
2は、血液検査で血清クレアチニンを調べ、それを計算式に当てはめて糸球体ろ過量の推定値を算出することで判断します。どちらも一般的な健康診断に含まれていることが多いため、定期的に健康診断を受けることが早期発見につながります。ただし、血清クレアチニンは筋肉量に左右されるため、高齢者のうち、筋肉が少ない人やリハビリ中の人、糖尿病や高血圧のある人は、シスタチンCという別の値も測定したほうが、正確に腎機能を測ることができます。
検査で異常が見つかった場合でも、慢性腎臓病の基準を満たさない程度の異常であれば、食事や運動など生活習慣の改善と、高血圧や糖尿病など腎機能に影響する病気がある場合はその治療を行うことで、回復の余地があります。
しかし、腎機能の低下が進んでしまうと、元に戻ることはありません。透析の開始を遅らせることを目標に、生活改善や薬による治療を行います。
早期に発見するには上記の症状に気をつけると共に、定期的に健康診断を受けて血圧をチェックしたり、尿検査をしましょう。ポイントは尿蛋白と血清クレアチニンの値で、腎臓に障害があると血液中の蛋白質が尿へ漏れ出します。尿中のタンパク質を測定することで腎機能を図ることが出来ます。また本来なら尿へ排泄される血清クレアチニンですが、腎機能が低下すると上手く排泄されずに血液中に留まり数値が上昇します。
以上おおまかではありますが、CKDの発見の仕方です。
運動をすることで、CKDを予防できる?
以前は安静にしていることが常識でしたが、さまざまな研究によってその常識は覆り、運動をしたほうが心筋梗塞、心不全、脳卒中など心血管疾患の予防や腎機能の改善につながることが分かりました。
ウォーキングによって死亡率や透析への移行率が低下したというデータも得られています。さらに、腎機能を低下させないための予防としても、運動は役立ちます。慢性腎臓病の原因となる生活習慣病の予防にも効果的です。
また、運動せずに安静にしていると、筋肉はどんどん減ってしまいます。特に透析の患者さんは、透析中は長時間にわたって安静の状態が続くため、筋肉が落ちて、全身の筋力が低下する「サルコペニア」や、心身の活力が低下する「フレイル」になりやすくなります。現在では、透析を受けている最中に自転車こぎなどの運動を取り入れることも、保険診療の範囲内で可能となっています。
慢性腎臓病のための「腎臓リハビリテーション」は、ストレッチ(体操)、有酸素運動、筋トレの3種類が基本になります。
最も効果が高く、優先して行いたいのは有酸素運動です。ただ、これだけでは筋肉は増えにくいため、筋トレも並行して行います。日常的に体を動かしていない人の場合、急に運動を行うとケガにつながる可能性があります。ウォーミングアップも兼ねて、強度の低い体操から無理なく始めるとよいでしょう。
まとめ
最後までお付き合い頂き、有難うございました。本日は「慢性腎臓病について」というテーマでお話を進めてきました。いかがでしたでしょうか?
日常生活の中ではあまり聞きなれない慢性腎臓病ですが、透析段階まで悪化すると本当に大変です。普通の暮らしがかなり制限されますので、毎年の健康診断や定期的な血液検査を確実に行いましょう。
そして当ブログでもしつこいくらい申し上げておりますが、適切な運動は欠かせません。今は天候も良い季節で、運動を始めやすい季節でもあります。楽しめる運動を是非探して頂きたいと思います。
それでは、また来週!
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◇ 編集後記
最近は日も長くなり、仕事が終わる時間もかなり明るくなりました。春の夕暮れは一番好きな時間帯ですので、ついついもうひと頑張りしてしまいがちです。
先日も仕事が終わってからランニングをしました。非常に爽快だったのですが、就寝後(3時すぎくらい)足がつりまくり七転八倒の痛み。おかげでかなりの睡眠不足になりました。無理をしたからか、年のせいか・・・。
全国のジニアの皆様、運動もいいですが、アフターケアも十分に行いましょうね。
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