急性喉頭蓋炎
急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)とは?
喉頭とは、気管の手前の部分のことで、成人男性でいう“のどぼとけ”の部分にあたります。喉頭には声を出すための器官である声帯があり、また呼吸した空気の通り道になっています。声帯の上には、食べたり飲んだりしたものが気管に入らないようにするためのフタがついており、このフタのことを喉頭蓋と呼びます。
急性喉頭蓋炎は、喉頭蓋に細菌感染などで炎症が起きた状態のことをいいます。
原因
ウイルスや細菌による感染が、のどから喉頭蓋まで広がることが主な原因です。
インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは違います)、連鎖球菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などが原因菌となります。細菌の感染によって喉頭蓋に炎症が起きると、喉頭蓋そのものが腫れて大きく膨れ、その結果のどの痛みや息苦しさを生じます。
症状
最初の症状としては、のどに炎症があるため、のどの痛み、飲み込んだ時の痛み、発熱などの症状がみられます。病状が進行し喉頭蓋の腫れが強くなってくると、呼吸や食べ物の通り道が狭くなり、息苦しさや物が飲み込めない、くぐもった声といった症状が出てきます。
痛みが強くなると唾液も飲めなくなるため、口に溜まった唾液を吐きだしたり拭ったりするようになります。さらに喉頭蓋の腫れが悪化すると、呼吸の通り道を完全に塞いでしまい、最悪の場合窒息に至ります。
このように、急性喉頭蓋炎は命にかかわることのある大変怖い感染症です。そのため迅速な対応が必要です。
検査
喉頭はのどの下の方にあるため、口の中を観察しただけでは見ることができません。
簡単な検査では、喉頭鏡という小さな鏡を口から入れて、反射させて喉頭蓋を観察することができます。
詳しく観察するには、細い内視鏡を鼻から挿入して直接喉頭蓋を観察します。腫れの程度、空気の通り道の広さ、喉頭蓋周囲の器官への炎症の広がりを確認することができます。
その他、頸部単純レントゲンでも確認はできますが、感度があまり高くないことから、耳鼻咽喉科では一般的には内視鏡を用います。
治療
軽症例以外は、基本的には入院治療をお勧めしています。急速に悪化し、窒息に至るケースがあるからです。
治療は、細菌感染に対する抗生剤の点滴と、喉頭蓋の腫れをひかせるためのステロイド点滴を行います。その間も、病状の悪化や呼吸困難があらわれないか、慎重に経過を見る必要があります。
初診の時点で窒息するほど喉頭蓋の腫れが強い場合や、点滴治療にもかかわらず腫れが悪化する場合は、気管切開といって首から気管に繋がる穴をあけて気道確保する手術が必要になります。