『グロウアップ講座~あなたには、お客様が見えていますか?』_
名古屋市中区栄の足立耳鼻咽喉科伏見クリニックです。医薬品営業歴36年の営業マンがおくる、ビジネスパーソン向け自己啓発・自己成長支援ブログです。仕事の悩みを改善し、レベルアップして頂ければ幸いです。
「ビジネススキルとマインドが成長する~グロウアップ講座 第 81回」を始めます。
こんにちは、人財開発部 元営業マンのケンシロウです。地域差はありそうですが、雨で気温が下がったせいかツクツクボウシが鳴いていました。このセミが鳴くのは、大体は夏の終わりだと記憶しています。まだまだ秋に遠いものの、季節のうつろいを感じずにはいられません。
本日のテーマは、
「信頼関係を得る技術~ペーシングの力! 」
あなたは、お客様を見ていますか? こう聞かれれば、「ハア~?見てるに決まってるじゃん!」と怒られそうですね。確かにあなたの担当のお客様、あなたの目の前にいるお客様を見ていないはずはない。う~ん、しかし本当にそうでしょうか? 見ているつもりでも、本当に見ているのでしょうか?話す言葉を聞けているのでしょうか?
ビジネス現場でありがちな、意外な事実
いきなり変な質問で困惑されたと思います。誰もがちゃんと見ているに決まっていますよね。人の顔も見ないで話すのは失礼!と教育されていますから。しかし私の言う”見る”は、少し違う意味です。理解を深めるために例をあげましょう。
<ケーススタディ>
仕事の関係で引っ越しを予定しているA子さん。土地勘などもないので、駅前の賃貸業者さんのお店に来ました。何事もテキパキと早く決めていきたい性格のA子さんは、早速本題に入ります。
A子さん「あの、駅に近くてなるべく新しいお部屋ってないですか?あ、家賃は安い方がいいんですが・・・」
賃貸業者「はい、わかりました。(ゆっくりとした動作で、物件情報を検索)これなんていかがですか?駅チカで、ワンルームの新築物件です。ちょっと高いかも知れませんが、いい物件ですよ!」
A子さん「あ~そうですね・・・いいんですけど、ワンルームはあまりかな。それと家賃が少し高いですね・・・」
賃貸業者「そうですか・・・。(またまた、ゆっくり検索)じゃこれなんてどうでしょう?ちょっと駅から離れますが、新築のいい物件ですよ。人気物件で希望者も多く、早く決めてもらわないと埋まってしまいます」
A子さん「いや・・・(だんだんイライラして)、ちょっと私には合わないんで結構です・・・」
賃貸業者「え、そう言わず。個人的にお勧めの良い物件ですから!」
このようなやりとりをして、結局A子さんは他の業者に依頼しました。この業者さんのやり取りは何がダメだったのでしょう?
おわかりだと思いますが、基本的にA子さんの希望を無視していますね。A子さんの希望である「駅チカ、なるべく新しい部屋、リーズナブルな家賃」に合った提案をしていない、自分の売りたい物件を紹介している点などが敗因ですね。
そして目の前で話しているA子さんの表情や言葉を全く見ていない、聞いていないようです。これでは信頼関係が築けませんし、関係が築けなければ売れるはずもないということです。「俺はこんなミスはしないね!」と豪語するあなた、気づかずに意外とやっているかも知れませんよ。
人から物やサービスを買うということの意味
人間と人間が円滑に社会生活を営むためには、相互の信頼関係が必須です。いつ襲ってくるかわからない人や(普通はいない?)、平気で嘘をつく人とは絶対付き合えませんよね。
物やサービスを買う場合も同じで、小さくてもいいから信頼関係を築く必要があります。
言い換えると物やサービスそのものも大事ですが、それ以上に誰から買うのかというが大事なんですね。製品の信頼感を担保する意味でも、誰だって信頼できる人から買いたいはすです。
特に最近はその会社にしかないという製品はほとんど存在しないので、余計に誰から買うかが重要になってきています。
上記の賃貸業者のように、お客様の要望を聞けない(聞かない?)ようでは、商談は成立しません。こうして欲しい!という要望をしっかりお聞きし、それと自分が出せる提案とを折り合いをつけるのが商売ですよね。ましてやお客様の要望よりも、自分の都合を優先する人からは絶対に買いたくないのではないでしょうか?
信頼関係を作る方法
心理学や営業現場では良く使う言葉で、”ラポール(仏語:関係、架け橋という意味)”という言葉をご存知でしょうか? 良好な人間関係という意味ですね。
「物を売らずに、まずは人を売れ」とよく言いますが、商品を売るよりもまずはラポールを築くことが大切です。一見遠回りのように想いますが、いつもお話するように遠回りこそ近道なのです。それではどのようにラポールは築けば良いのでしょうか?
わかりやすく考えましょう。すでに信頼関係の出来ている状態を想像すると良いと思います。もちろん最初に信頼に足る人間、つまり嘘をつかない、きちんとする事をするという要素などは身に着けておく必要はありますが。
出来ている前提で続けますが、一般的に良好な人間関係である家族や夫婦、恋人、友人、同僚などを思い返してみると、自分と結構似ていることに気づきませんか?
人間が信頼感や好意を抱く要素はいろいろありますが。自分に似ている人を好きになる傾向があります。もちろん全く一緒だと自分の悪い点を見ているようで逆に嫌悪感を抱くそうですが、
よく似ているけど、少し違う人が魅力的に見えるそうです。
ですのでまずは”相手に似せる”ことを考えます。これをペーシングと呼びます。ペーシングとは簡単に言えば、相手のペース(動作の速度、動作、表情、話し方など)に合わせることです。
相手がテキパキした感じならば自分もテキパキと、早口ならテンポよく、よく笑うならこちらも笑顔でという感じで、相手に合わせます。相手の動作の真似をするミラーリングという技術もありますが、今回は入門編なのでリズムや雰囲気を合わせることで良いと思います。
意識して行っていると徐々にリズムが合ってきますので、相手がなんとなく居心地が良くなってきて(意識する場合、無意識に感じる場合両方があります)、「この人、なんかいいな。ウマが合う感じかな」と好意を抱いてくれるはずです。
そして次は相手の言語化された要望をしっかり聞き、それに合った内容を提案します。ぴったり合ってなくても、メリットデメリットを紹介しながら妥協案を出すのも良いと思います。
もうこの時点でラポールが出来ているはずですので、双方にとって良い結果を目指して進めていきましょう。
時には提案が合わない場合もありますが、そういう場合もお客様にメリットのある提案(例えば、他の良い業者を紹介してあげる等)をしてあげれば非常に感謝されるでしょう。次回につながったり、他の方を紹介して頂いたりするかも知れません。自分の利益を追求したいのは山々ですが、相手に尽くす姿勢はいつか返ってくるものです。
この方法はあくまで基本ですのでケースに合わせて変えていく必要はありますが、マインドは変わりません。私もこの方法で仕事をしてきましたが、目標達成と人の役に立ったという充実感を味わえるのは間違いありません。是非お試し下さい。
よし、一度実行してみようと思った時点で、あなたはもう成長しています。
それでは、また来週お会いできるのを楽しみにしております。
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□ 編集後記
基本的なことですので、すでにご存じの方も多いと思いますが意外に習慣化されていないことでもあります。
利己を捨てて(捨てきれなければ、せめて弱めましょう)、利他を考えた時に光明が見えます。
仕事っていろいろ考えた事を試せる場でもあります。楽しむべき、ですね!
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