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睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅう しょうこうぐん)

いびき

いびきは健康状態の注意信号です!そのいびき、実は、命を脅かすものかもしれないです。同じ寝室で寝ている家族から、「いびきがうるさい」と言われた経験がある方は、要注意。
その中でも特に「息が止まっている時がある」と言われた方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かも知れません。睡眠中にいびきをかいている方の多くが、何十回も無呼吸状態を繰り返す「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」であることが分かっています。

またそればかりではなく、高血圧・心疾患・糖尿病・脳卒中・メタボリックシンドロームなど、現代病と言われている様々な生活習慣病を併発したり、時に突然死の原因となることも分かってきました。心配な方、セルフチェックしてみませんか?

「いびき」セルフチェック

寝ている間

  • いびきをかく
  • いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
  • 呼吸が止まる
  • 呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
  • むせる
  • 何度も目が覚める(お手洗いに起きる)
  • 寝汗をかく

起きたとき

  • 口が渇いている
  • 頭が痛い、ズキズキする
  • 熟睡感がない
  • すっきり起きられない
  • 身体が重いと感じる

起きている時

  • 強い眠気がある
  • だるさ、倦怠感がある
  • 集中力が続かない
  • いつも疲労感がある

こんな症状を感じたら、受診してまず検査を受けられることをお勧め致します。

 

睡眠時無呼吸症候群の検査について

『検査って入院が必要だと聞いたよ。忙しくて、入院して出来ない…。』と思われる方もいらっしゃると思いますが、自宅で出来る簡易検査があります。検査は簡単で、ただ検査装置をつけて寝るだけです。鼻の気流・いびきなどの呼吸状態を検査・解析し、その解析データを基に検査結果を当院でご説明し、最適な治療を開始できます。

1)いびきについて

いびきは、睡眠時に上気道、とくにノド・鼻の空間が何らかの原因で狭くなり、そこを通過する空気の流れにあわせて異常な音を発するものです。

原因は①全身的なもの、②局所的なものに分けられます。

①全身的なもの:肥満
②局所的なもの:鼻づまりをきたす病気(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などの病気やアデノイド肥大など)

ノドの異常(ノドの奥の空間が異常に狭くなる状態、扁桃腺が大きい場合、あごの骨の発育不全(日本女性で元々のどが狭い人等)など)

 大きないびきや呼吸のリズムが一定でなく、数秒間呼吸が止まったり大きな呼吸をくりかえすものは病的です。睡眠中の鼻からノドへの空気の流れが過度に妨げられると、呼吸によるガス交換の機能が妨げられ、呼吸が弱くなったり無呼吸をきたすのです。このような睡眠中の呼吸機能の妨げは、さらに全身へさまざまな影響を及ぼす危険があります。

2) 睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは、「睡眠時に無呼吸状態が繰り返される病気」です。Sleep Apnea syndorome(= 英語病名)の頭文字をとって、SAS(サス)とも呼ばれます。一定の無呼吸・低呼吸状態を繰り返し、質の良い睡眠がとれないことで、昼間の眠気や倦怠感、集中力の低下などの症状を伴う病気です。

10秒以上の気流停止(気道の流れが止まった状態)を無呼吸と呼び、一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上無呼吸の状態があれば、この病名がつけられます。
いびきはまだ鼻呼吸ができている状態ですが、無呼吸は鼻呼吸ができず、口呼吸になっている状態です。

 


(2003年3月3日中日新聞記事)

睡眠時無呼吸症候群は決して珍しい病気ではありません。
2003年2月26日JR山陽新幹線岡山駅で東京行の新幹線が、所定の位置より約100m手前で止まり、3両ほどがホームからはみ出したまま停車。車掌が運転席に駆けつけると、運転士は腰掛けたまま睡眠中であった。後の調べで、この運転手は体重が100kgを超える肥満タイプであり、運転手の睡眠時無呼吸(SAS)が判明、SASと運送事業者に求められる安全対策が社会問題となりました。

この病気が怖いのは、

  1. 寝ている間のことなので、本人はなかなか気がつかない。
  2. 本来は、就寝中に回復すべき体の機能が充分に回復していない。これにより、日中の持続的な眠気、だるさ、注意力不足などが表れる。
  3. 中等症~重症の場合放置すると、脳梗塞や心筋梗塞などを合併して、約3人に1人の方が9年後に亡くなってしまうというデータがあります。

もちろん息が止まって亡くなる訳ではなく、脳梗塞・心筋梗塞などでです。これは肺がんの予後より悪いものです。

仕事の能率にも大きく影響が出るだけでなく、最悪の事態も発生する可能性があります。もしかして、を放置しないことが大切です。睡眠時無呼吸症候群は誰にでも起こりうるありふれた病です。ご自身の体や仕事の能率のためにも、まずは検査を受けてSASを自覚することが大切です。

3)SASの検査方法と診断

『検査なんて忙しくて、入院して出来ないよ…。』と思われる方もいらっしゃると思いますが、自宅で出来る簡易検査があり、重症の判定の場合は、治療(autoCPAP)を開始することも出来ます。

検査の概要

①診察
医師の診察の際に、セルフチェックリストを参考に、詳細な問診をおこないます。いびきや息が止まっている等の御家族の方の声、ご自身の熟睡感の有無や日中の眠気等をお話しください。続いてのどや鼻の診察を行い、形態的な異常の有無を診察します。

②検査
診察後、SASの検査の日程をご相談します。検査は自宅で一晩装着して眠ります。呼吸状態(鼻呼吸が出来ていいるか等)、血液の中の酸素飽和度、脈拍、体位などを測定、コンピューターに記録された結果を翌日回収します。

もしセルフチェックで気になられた方は、簡易検査を受ける事をお勧めします。

③検査結果の解析と診断
回収したデータを解析、次回クリニックを受診時解析結果を説明、今後の方針を相談・決定します。診断・重症度(AHI:無呼吸低呼吸指数)により、方針は変わります。人によっては更に詳しい検査(終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG))が必要な場合もあります。ただ仮に重症であったとしても、キチンと治療(CPAP管理等)を受けることが出来れば、最悪の事態は避けることができます。事故を起こしたり、合併症を発症する前にまず検査を受けて下さい。

4)治療方法の種類

肥満の方は減量が大切ですが、ダイエットは短期間で出来るものではありません。計画的な生活習慣の改善と以下の治療法を組み合わせるのが、主な治療になります。中でもCPAPは治療のメインとなっています。

①CPAP(経鼻持続陽圧療法:Continuous Positive Airway Pressure)

睡眠時無呼吸症候群は、舌が気導をふさぐなどの原因により気道が閉塞し、無呼吸になります。

CPAPは鼻マスクを介して、陽圧を加えた空気を送り続ける事で、上気道を広げ閉塞を防ぎます。広げるための圧力は患者さん個々に異なります。中等症以上の重症度の方に適応があり、保険適応の治療です。

②口腔内装置OA(Oral Appliance)

OSASによる閉塞部が、特に舌根部のみで、口腔内装置治療単独で無呼吸の改善が期待できる場合に適応があります。OAは作成に習熟した口腔外科へ依頼します。

③手術

小児では、ノドの異常(扁桃腺・アデノイドが大きい場合)が、SASの原因のほとんどのため、手術が第一選択となります。

鼻づまりをきたす病気(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などの病気やアデノイド肥大など)もSASの原因となり、手術の適応があります。

 

5)生活習慣の改善

肥満は大敵。減量しましょう。
運動療法の禁忌がなければ、運動療法と食事療法を併用します。脂肪組織1kgは7000kcalに相当することから、例えば体重の変化がない場合、毎日食事での約160kcal(ご飯100g相当)の摂取削減と運動での80kcal(80kgの人で速歩20分相当)の消費増大を継続できれば、1カ月後に1kgの減量が得られることになり、計画的な減量が必要です。

有酸素運動では、筋のエネルギー源として糖質と遊離脂肪酸の両者が利用されるが、肥満者の運動療法では、脂肪組織に貯蔵されている脂肪の利用率を高める必要があり、有酸素運動の継続的な実施が望ましいです。

また眠前のアルコール摂取は、上気道の虚脱をより生じさせやすくさせ、無呼吸が起こりやすくなりますので、控えて下さい。

また睡眠薬も、時として無呼吸の促進剤となりえます。

たばこを吸っている人はそうでない人と比べて、4.4倍無呼吸症候群になりやすいので、禁煙が望ましいです。

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