新型コロナウィルス検査について
世界的に感染者が増加しており、日本においても一部都市は自粛解除後増加し続けています。
そんな状況ですが、経済的な事情を考えて飲食店など大半の企業、店舗が営業再開。
それに比例するように、クラスターの発生など不安な状況は続いているのです。
久しぶりに来院された患者さんと話をしていますと、
「診察に来たかったんだけど、コロナが怖くて・・・」
「家族が病院はダメと言うので」
「子供が感染すると大変だから、熱があっても我慢していた」
というお声が大変多かったのです。
新型コロナウィルス対策として、院内では様々な防衛策を行っておりますが、もっと何かできることはないだろうか、もっとお役に立てることはないかと考え、「新型コロナウィルスの抗体検査」をやってみてはどうかという意見が出ました。
当初はスタッフ間でも意見が分かれましたが、漠然とした不安を抱え、暗い毎日を過ごす方も多いと感じていましたので思い切ってやってみることにしました。
新型コロナウィルスの検査については、精度などを含めてまだまだという部分が多いのですが、現時点で、クリニックレベルで行える検査は限られているのも事実です。
このページでは、新型コロナウィルスの検査について説明致します。
「自分に抗体があるのかどうか、検査をしてみたい」
「仕事で東京に行ったけど、大丈夫かな・・」
このように思われる方、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
抗体検査とは?
新型コロナウィルス抗体検査とは?
新型コロナウィルス感染が続く中、誰もが目には見えない恐怖を感じています。
若い方はそれほどでもないかもしれませんが、高齢の方や基礎疾患をお持ちの方などはもし感染したら・・・と重苦しい気持ちで過ごされてみえるのではないでしょうか?
コロナウィルスに感染しているか、すでに感染していて抗体が出来ているか、家族はどうかなどの不安を少しでも解決する方法のひとつは、検査で確認することしかありません。
下図は新型コロナウィルス検査の適応と流れになります。

出典:「新型コロナウィルス感染症に対する検査の考え方」
コロナウィルスの検査は、
- PCR検査
- 抗原検査
- 抗体検査
の3つで、テレビなどでもさかんに報じられていますね。
当院ではこの中で、3つ目の「抗体検査」を実施しております。
抗体検査とは、
「血液検査により、過去にコロナウィルスに感染したことがあるかどうかを調べる検査方法」
です。IgG抗体とIgM抗体の2つの抗体を同時に検査出来ます。
*IgG抗体とは、過去にコロナウィルスに感染しており、その時に獲得した抗体(特定の抗原から身体を守る物質)を言います。
*抗体はIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類があり、コロナウィルス抗体検査ではIgGとIgMを測定します。
*IgM抗体は感染の初期段階(大体7日間以内)で生成され、数年間持続すると言われています。新型コロナウィルスの抗体がどれくらい継続するかは、まだ不明です。
抗体の種類 | 作られる時期 |
---|---|
IgG(アイジージー)抗体 | 感染後7日間以内 |
IgM(アイジーエム)抗体 | 感染後7日間後~数年持続 |
参考にPCR検査との違いも、簡単に表にまとめてみました。
PCR検査 | 抗体検査(抗体キット) | |
---|---|---|
目的・特徴 | 現在ウイルスが体内に存在しているかどうか調べる | 過去に感染したことがあるかどうかを調べる 検体採取時の感染リスクが少ない |
採取方法 | 鼻の奥やのどの奥からぬぐい液を採取 | 少量の血液を採取 |
検体採取者 | 正確に検査を行うため、専門家(医療従事者)が実施 | 自己採取が可能 |
結果が出る までの期間 |
数時間程度 | 15分程度 |
精度 | 高い | PCR検査よりは低い |
PCR検査の方が精度は高いのですが、実施している医療機関の数が少ない、難易度が高いなどハードルは高そうです。
抗体検査はどのように役に立つのか?
抗体検査はPCR検査などで確定診断された方以外に、診断されていない症例(主に無症状~軽症)がどれくらいあるのかを把握するのに役立ちます。どちらかというと、社会全体の公衆衛生に役立つ検査と言えます。
じゃ個人でする必要がないかというと、そうとも言えませんよね。
中高齢の方に多いとは思いますが、身に覚えがなくてもどこかで感染しているかも?という不安で心の健康を乱している方も、非常に多いと思います。
また仕事で東京などに行ったが、大丈夫だろうか? 誰かにうつしていないだろうかと心配な方など、早く結果のでる抗体検査の必要性は充分あると考えます。
検査キットについて
検査キットは、Hangzhou Clongene Biotech社(中国)製のCLUNGENEを採用しています。
(アメリカ食品医薬品局(FDA)、中華人民共和国国家食品薬品監査管理局(CFDA)から認可を受けている製品)
陽性反応の検出率
- IgG抗体 96.8%(120例)
- IgM抗体 93.1%(120例)
*参考サイト:NIID 国立感染症研究所サイト
こんな方におすすめします!
- 身近に咳込んでいる人または、ご自身に微熱や咳などの症状がある
- 同じ会社の同僚や近隣の方が発症した話を聞いた
- 人混みが多いところへ外出してしまった
- 家族に高齢者や小さいお子さんがいる
- 通院のための外出による感染リスクが心配もしくは不安がある
心配でストレスを感じている方も多いと思います。検査することでスッキリするならば、思い切って実施してみるのも一つの方法です。
【注意!】検査が出来ない方
- 2週間以内に37.5℃以上もしくは、平熱を超える発熱があった方
- 2週間以内に普段と違う体調不良(味覚障害、倦怠感を含む)があった方
- 2週間以内に新型コロナウィルス感染症と診断された方と接触のあった方
- 2週間以内に新型コロナウィルス感染症の流行地(国内外)へ行った、又は行った方と接触があった方
- 新型コロナウィルス感染症のPCR検査を受けたことがある方
- 現在、新型コロナウィルス感染症にかかっているかを調べたい方
- 検査当日、咳や発熱、倦怠感、味覚障害のある方
- 検査当日、自家用車で30分程度待機できない方
- 検査当日、同意書をお忘れになった方
*検査対象外の方も、オンライン診療での抗体検査は行えます。
*ドライブスルー方式では安全性の観点から、無症状の方のみを対象とさせて頂きます。
感染拡大防止には、慎重の上にも慎重を期さないといけませんので、少し項目は多いのですがよくお読み頂ければと思います。
検査の費用について
新型コロナウィルス抗体検査は保険適応外=自費になります。
1回で9,800円(税込み)でこれに加えてオンライン診療の費用がかかります。
詳しくは、お電話でご確認ください。
足立耳鼻咽喉科 伏見クリニック 052-222-3387
診察時間 10:00~13:00/15:30~19:00
検査方法
当院では「新型コロナウィルス抗体検査」は、オンライン診療のみで行っております。
*院内では実施しませんので、ご了承下さい。
*通常の診察でお越しの方へ
これによって他の方へ感染することはございませんので、ご安心下さい。
オンライン診療で行う抗体検査
基本的には「オンライン診療」の仕組を使って、検査を行います。
play_circle_filledオンライン診療のやり方
大まかな流れは、
- まずは当院受付(052-222-3387)に、お電話をおかけ下さい。
- 詳しい内容などをお聞きいただき、ご納得いただけましたら診療予約を致します。
- 予約した日までに、オンライン診療アプリ「curon(クロン)」をダウンロードしておいて下さい。
足立耳鼻咽喉科 伏見クリニック 052-222-3387
診察時間 10:00~13:00/15:30~19:00
ドライブスルー方式(車中)で行う抗体検査 受付期間:2020年9月23日まで
下記のような場合はドライブスルー方式(患者さんのお車の窓越し)にて実施致します。
- オンライン診療の仕方がわからない
- 検査試薬の手順を見たが、手順がわからない
このような場合は、お電話でご相談いただけますか?
足立耳鼻咽喉科 052-222-3387
診察時間 10:00~13:00/15:30~19:00
大まかな流れとしては、
- 検査日の予約(1週間以上前の日程)
- 健康日記兼同意書の準備と記入(体温測定を1週間お願いしております)
- 検査当日 駐車場に着かれましたらお電話ください。
企業様向けの抗体検査 受付期間:2020年9月30日まで
ご心配な企業の方は、一度ご相談ください。
- 仕事上、他県への移動が多い
- 仕事上、東京への出張が多い
- リスクヘッジのために、一度確認しておきたい等々
基本的な手順は、
①お電話または窓口にて、承ります。
基本的に代表者1名様に受付をして頂ければ結構です。
足立耳鼻咽喉科 052-222-3387
診察時間 10:00~13:00/15:30~19:00
②お支払い(先払い)
・窓口にて現金でお支払い
・振込にてお支払い
*請求書・振込先情報などは事前にFAXでご連絡します。領収書が必要な方はお申し付けください。
③お支払いが確定次第、検査キットをお渡しします。
・窓口にてお渡し
・郵送(別途配送料がかかります)
④ご自身で検査実施
⑤代表者の方に結果説明を致します。
・検査された方の氏名と、検査済みのキットのセットを持参頂きます。
・10名以上の場合は事前にメール添付で送付お願いします。
play_circle_filled企業様向け抗体検査について
検査の手順
- 消毒後、検査キットに付属の”青色の採血機器”で指先に穴を開けてもらいます。
(表現は痛そうですが、非常に細い針を使っていますのでほとんど痛みはないと思います) - 指先をしごくように血液を絞り出して頂きます。
- 付属のピペットを血液にあてて下さい。自然と吸い込まれていきます。
- ピペットの血液を、試薬におとして判定結果を待ちます。
文章ではわかりにくいので、下の図をご覧下さい。
検査の結果について
1.全員の検査結果がそろい次第、日程をご予約頂きます。
結果説明スケジュール
【 火曜日~金曜日 10:00~11:30、16:00~17:30 】内でご予約下さい。
2.検査人数が10人以上の場合は、必ず事前に結果写真を送付(メールで結構です)して下さい。
【 メールアドレス:[email protected] 】
10人以下の場合は写真持参でも結構ですが、事前に添付メールを頂いたほうがスムーズに説明を聞いて頂けると思います。
*この時に”同意書”をご持参下さい。
*領収書が必要な時は、この時にお渡しします。
3.代表者(1名)の方に来院頂き、車中にて結果説明を聞いて頂きます。
以上で終了です。
新型コロナウィルス抗体検査全般 FAQ よくある質問
1.オンライン診療を希望する場合、パソコンやスマホがあれば大丈夫?
はい、パソコン・スマホがあれば大丈夫です。ガラケーの方はオンライン診療を受けて頂け頂けませんので、ドライブスルー方式をお勧め致します。
2.決済はクレジットカードのみ?
オンライン診療においてはクレジットカード決済のみです。
クレジットカードをお持ちでない方は、ドライブスルー方式をお勧め致します。
3.陰性の場合、感染していない証明書を発行してもらえますか?
抗体検査は100%の精度ではございませんので、残念ながら証明書の発行は出来ません。
4.検査キットはどこの製品ですか?
Hangzhou Clongene Biotech社(中国)製のCLUNGENEを採用しています。
アメリカ食品医薬品局(FDA)、中華人民共和国国家食品薬品監査管理局(CFDA)から認可を受けている製品です。
5.結果が出るまでの時間は?
検査完了後、大体15分~20分くらいだと思います。
6.抗体はいつまで持続するの?
世界的にも確認されておらず、申し上げることは出来ません。
その他の検査について
PCR検査
PCR検査とは、Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字をとったものでウィルスの微量のDNA断片を増幅して検出する検査方法。
PCR検査は”今現在、体内にウィルスが存在するかどうか(感染しているか)を調べることが出来ます。100%ではないですが、確定診断をする最も有用な検査方法です。
PCR検査のメリット・デメリット
- 各検査の中では、精度が高い。
- ウィルスを増幅する工程に時間がかかり、結果が判明するまでに人手と時間がいる。
- PCR検査用の専用機器が必要で、実施できる施設数が決まっている。
コロナ肺炎のような症状があっても、検査してもらえないケースもありましたね。
順序的には、最終判断をする検査という位置づけです。
抗原検査
抗原検査とはウィルスのタンパク質を検出する検査で、PCR検査に比べて短い時間で結果が出せます。
しかし検査制度はあまり高くなく、PCR検査と比べれば低いと言わざる得ません。
*抗原検査キットの感度
国内臨床検体においては感度37%、行政検査検体では感度66.7%
*抗原検査キットの特異度
国内臨床検体においては特異度97.8%%、行政検査検体では特異度100%
言葉がむつかしいですが、どちらも感度は低く特異度は高いという結果。もっと簡単に申し上げれば、「抗原検査結果が陰性でも感染を否定できない」(感染しているかも知れない)ということです。
さらに「抗原検査が陽性であれば、感染している」となります。
抗原検査のメリット・デメリット
- 検査精度はあまり高くない
- 迅速に検査結果が得られる
- 陽性診断は合っている
PCR検査との比較がよくされますが、上の表にもあるように、陽性かどうかを確認するために抗原検査をまずやってみるという使い分けになっています。
3つの検査について
PCR検査、抗体検査、抗原検査それぞれの特徴などを簡単にまとめてみました。
それぞれの検査にはメリット・デメリットがありますので、その時々のケースバイケースにより使い分けていくのが良いと思います。
私たちは、感染リスクや用途を検討して”抗体検査”を選びました。
万能ではありませんが、患者さんの不安感を払しょくできるお手伝いが出来れば幸いです。
まとめ
新型コロナウィルスの抗体検査について、ご理解は深まりましたでしょうか?
未知のウィルスでまだまだわからないことが多いですし、メディアとかはどちらかというと不安をかきたてる傾向があります。
正しい知識を持っていただき、賢く対応していくことが最善かと考えます。